自費と保険の違い

自費診療と保険診療の違い

皆さん、歯科に限らず医療全般で「自費診療」という言葉を聞くと、どのようなイメージがありますでしょうか?
「一部のお金持ちが選ぶ治療でしょ」
「私には関係ないかな」
というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

確かに内科や外科など“医科”においては非常に高度な治療以外はほとんどの治療内容が保険診療の範囲内でまかなえます。
これが日本の健康保険制度は諸外国に比べて、大変優れていると言われているゆえんでしょう。

しかしながら、歯科治療の場合は内科や外科といった医科とは異なり、保険治療範囲は非常に限られているのです。
下の図をご覧下さい。

図1

「自費診療」と記載してある、大きく囲まれた部分が本来歯科で用いることの出来る様々な材料や治療法だとすると、保険が適用される範囲は小さな枠に囲まれた、ごくごく一部の範囲であることがわかります。
それでは、自費診療と保険診療では具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

画像で見る保険診療と自費診療の違い

<見た目の違い>

患者様にとって一番わかりやすいのは、経年劣化(けいねんれっか)とよばれる治療経過後の見た目の変化だといえます。その違いは写真で確認いただくと一目瞭然です。

【レジン(保険)とセラミック歯(保険外)の経年変化の比較】

図13
保険治療ではレジン(歯科用のプラスチック)が用いられます。
それに対して自費診療の範囲となる審美歯科治療では、セミラック(陶器)やゴールドといった材料が使用されます。
レジン(歯科用プラスチック)はプラスチックの性質上、どうしても食事をするたびに水分を吸収してしまうため、年月が経てば経つほど見た目が劣化していくことになります。
また、なかなか患者様には見えにくく分かりづらい内容ではありますが、
虫歯の再発リスクと身体への優しさとの違いも患者様のお口の一生涯の健康を願う歯科医師としてはしっかりとお伝えしていきたい内容です。

<虫歯再発リスクの違い>

詰め物・被せ物という言葉を一度や二度はお聞きになられたことがあると思います。
虫歯治療により削られた歯は、この詰め物・かぶせものを入れる必要があるため、使用する材料や治療方法によっては、削った歯とこれらの詰め物・かぶせもの境目に隙間ができてしまうこともあるのです。
この隙間は私たちが裸眼でみる分には、特に気になるほどの大きさではないのですが、お口のなか何億と存在する虫歯菌が侵入するには十分すぎる大きさです。この隙間から虫歯菌が侵入することで、虫歯の再発リスクを高めることになります。

もちろん虫歯の再発リスクを最小限に食い止めるために私たち歯科医師は、詰め物・かぶせものの隙間をぴったりと埋めようと努力しますが、保険診療で使用できる材料ではこうしたことに限界があり、せっかく治療した歯も数年すると再治療になってしまうケースが非常に多いといえます。
それに対して自費診療では、材料の制限がないので人工のエナメル質を作り、歯の表面を保護し、詰め物・かぶせものと歯の間をぴったり埋めるといった虫歯の再発リスクを極限に下げるための最善の治療を行うことが可能となります。
保険診療と自費診療の違いを示したものが以下の画像になります。
左が保険適用の銀の詰め物で、右が自費診療の金の詰め物です。

【保険診療(メタルインレー)と、自費診療(ゴールドインレー)の違い】

図2
写真をご覧頂いて少し分かりにくいかもしれません。
緑色の線で囲んだ箇所が、詰め物と歯の間に隙間ができる箇所です。
左図を見ていただくと白色のものがありますが、これは「セメント」とよばれる歯科用接着剤です。保険が適用される材料で詰め物(メタルインレー)を作ると、ぴったりはまるものを作ることができず隙間ができてしまいます。
その隙間を埋めるために歯科用セメントを使用するのですが、いくらセメントで隙間を埋めたとしても、収縮する性質を持つセメントは、時間が経てば縮んでいき隙間が出来てしまいます。
それでは、右図の自費診療でつくった詰め物(ゴールドインレー)はいかがでしょうか。
見事に歯とフィットしていて、隙間がありません。
隙間がないということは、虫歯菌が侵入することが限りなく少なく、虫歯の再発リスクも限りなく小さいということです。

<身体への優しさの違い>

【保険の金属による色素沈着】

図3
保険適用範囲内で認められている、いわゆる「銀歯」は、見た目に違和感があるだけではなく、金属イオンが体内に流出することで身体に悪影響を及ぼすことが知られています。
金属イオンが身体に及ぼす影響は人によって様々ですが、場合によっては金属アレルギーによる発疹(ほっしん)が起きることがあります。
また、金属イオンが歯茎に沈着することによって、歯と歯茎の境目に黒い線ができてしまう上の画像のようなブラックラインができることも金属イオンの弊害の一つです。
近年では身体への優しさにこだわったメタルフリー治療(金属を一切使わない治療)を全額自己負担で希望される方も非常に増えています。
このように自費診療と保険診療でどのような違いが生まれるのかをお伝えしてきましたが、まとめると自費診療と保険診療の違いは下記の三つに基づきます。

【自費診療と保険診療の三つの違い】

図2
図3
図4

この三つの中でよく患者様がご存知なのが「材料・「治療法」や「料金」の違いではないでしょうか。
ただ私たち歯科医師からすると、自費診療と保険診療の最大の違いは、「治療精度の高さ・十分な治療時間」にあるといえます。
保険診療は、公的機関によってあらかじめ治療費が決められていて、(最新の治療を患者様に提供するための最新設備への投資を十分に行っている場合、)健全な医院経営が出来ないのではないかと驚くほどの低価格治療費に設定されています。場合に拠っては、東南アジアの治療費より日本の治療費の方が安い場合もあります。
そのような背景があるため、どうしても限られた時間・費用の中での治療になってしまい、「~という治療には1,000円」と出来高払いの保険診療の場合には、じっくりと時間をかけて丁寧に治療をすることが出来ないのが実情です
本音の処、「治療費を安く抑えて丁寧な治療をしたい」と思いますが、そのような診療スタイルを続ける限り、医院に十二分な設備投資が出来ず、本当に困られている患者様の手助けをすることができません。
一方で、自費診療では、十分な時間と最高の材料を使って、再治療の必要性を限りなく抑え歯を長持ちさせられる最先端の歯科治療が行えるのです。
図5
もしかすると、治療を早く終わらせたい、そんなに治療に時間が使えない、とにかく安く歯の治療を行いたいという患者様には自費診療に対して価値観は見出せないかもしれません。
しかしながら時間をかけて丁寧に治療したい、しっかり治療したい、歯を健康な状態で維持し続けたいという患者様にとって自費診療は最高の選択であると思います。

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